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読む、 #ウェンホリ No.10「相手への好奇心をきっかけに組織は変わる」

ラジオ書き起こし職人・みやーんZZさんによるPodcast「WEDNESDAY HOLIDAY(ウェンズデイ・ホリデイ)」書き起こしシリーズ。通称「読む、#ウェンホリ」。

第10回では、アナウンサーの堀井美香さんとエール株式会社取締役の篠田真貴子さんが、「『聴く』の力で、チームや企業はどう変わるのか?」をテーマに語り合いました。

発行部数7万部を超える『LISTEN 知性豊かで創造力がある人になれる』の監訳者でもある篠田さん。「聴く」がチームにどのような影響を及ぼすのかについて、堀井さんが尋ねます。

聴くうえで大切なのは、相手への好奇心

篠田:「聴く」って面白いなと思って探求してるなかで出会った洋書を監訳させていただく機会があって。『LISTEN』という本が去年、出たんですけど。そのなかでもやっぱり「好奇心が大事」っていうことが何度も何度も書いてあって。検索したら35回、書いてあったんですけど。

だから「ああ、私が身近で見てたことと同じことをこのアメリカの方がおっしゃっている」って。だからやっぱり相手にピュアに好奇心を持つっていうのが聴くということができてる方の共通項なのかな? っていうふうには思いました。でも、それをお仕事でやられるときは、何かそういうのはあるんですか?

堀井:仕事のうえでアナウンサーとして訓練を受けてきて。たとえば「相手が言葉に詰まっても、ちょっと待ちなさい」とか。インタビューのときとか、そうですよね。あと、「言葉のなかから何を拾いなさい」とか。なんか、小手先ではないんですけど。スキルに繋がるようなものはいくつか、教わってきましたけど。でも、やっぱり私もこの仕事について「ストレスがないな」とか「人にお会いして聴くのが楽しいな」とかって自然に思えるのは、やっぱり小さい頃から周りに人がたくさん集まる……親戚がすごく家にたくさん、近所の人が来るようなお家で。

そこで大人の話を常に聴いていて。なんか、自分の聴く側のポジションをわかっていたりとか。あと基本、すごい風下から来た人間っていうか。なんて言うんでしょうね? わかりますか?(笑) なんか、すごい憧れの世界にぽっと入ってしまったっていう感じがあるので。

篠田:へー! こんなにベテランになっても?

堀井:今もそうです。今もね、東京で観光してるみたいですよ。本当に。「ああ、今日は篠田さんに会えた。イエイ、イエイ!」みたいな(笑)。

篠田:はいはい。ある意味、そういうフレッシュな好奇心が?

堀井:そうですね。好奇心っていうか、なんて言うんでしょうかね?

篠田:「わーい!」みたいな?

堀井:「わー、わー! やった、やった!」みたいな(笑)。

篠田:みなさんにこれ、画像でお見せしたい(笑)。堀井さんが今、ダブルピースをしているっていう(笑)。私は今、この映像を目に焼き付けましたね。

堀井:でもなんか、常にやっぱり……あと、お話の面白い方がね、すごくお相手してくださったっていうことももちろんあるんですけれども。なんか「今日もラッキー、ラッキー! 篠田さんのお話を聴くのに、お金を払わなくてもいいのかな?」みたいな(笑)。ちょっと仕事とは思えないようなテンションで。やっぱり「聴くことって楽しいな」っていうのがきっと、あるんでしょうね。

篠田:うんうん!

小手先のテクニックより、相手への興味関心

堀井:ただ私のいけないところは、よく注意されるんですけど。途中、なんか頭がついていかなかったりすると、もう途端にその話から降りちゃって(笑)。話を聴かなくなるっていう。

篠田:ボーッとしちゃうんですね?(笑)

堀井:そういうことがあるので。それはよくないんですけど。でも基本、そうなのかもしれないです。その、聴く側にとっての、ありがたいことに最初から気持ちのなかにあったテンションとして「ああ、なんかこの人すごい! この人すごいな!」っていう感じなんですかね?

篠田:いや、本当に今のお話を伺ってまた『LISTEN』に書いてあったことで私が取り入れてることを思い出したんですよね。自然に好奇心を持てる相手もいますけど、そうじゃないときもある。で、そのときに、その「研修で教わった」っておっしゃったやや小手先の「口を挟まない」とか「相手の目を見て」とかっていうのは、本当に話を聴いてる人が表面的に何をしてるか?っていうのをなぞっているだけで。

で、この本には「それを覚えても意味がありません」ということをまずバサッと書いてるんですね。で、そのうえで、その好奇心を持つひとつのスイッチの例として「この人が今、自分にこの話をしてくれてるのはなんでだろう?」とか「今、この人の心の内にはどういうことがあってこの話をしてくれてるのかな?」っていう、そういう問いを持ちながら聴くと、その表面的におっしゃってる言葉だけにとらわれず、本当に「その人」っていうところに関心が向きやすいということが書いてあって。それは私、すごくしっくりきたんですよね。

そうなると、もう話題が多少自分の興味関心とずれていても、逆にずれてるからこそ、ネガティブじゃなくて本当にピュアに「この人が今、宇宙の話とか、明らかに素人の私にものすごく熱を込めて『ガンマ線が……』とかをおっしゃってるのはなんでだろう? このエネルギーはどこから出てくるのかな?」っていう、そういうふうに興味を持つと、専門性とかは関係なく、面白くなってきちゃうんですよね。

そうすると「いや、お話の専門的なところは私は今、かなり咀嚼できてないんですけど。でも、その熱意はどこから来るんですか?」っていうところにはピュアに興味を持てるので。そこで「面白いな」って思える感じが自分で生まれてるなって。今、伺っていてちょっとその感じを思い出しました。

チームの心理的安全性を高めるうえでも「聴く」が欠かせない

堀井:なんか本当にあのたくさん聴きたいことがあるんですけど。これだけ伺っていいですか? もうなんかここで締めみたいに入ったんですけど(笑)。

私、この「心理的安全性」っていう。これも最近、言われてきてるんですけど。今、本当にオンラインでチームで話したりとかってことが多くて。そうすると、どうしても発言の強い人……対面でやっていてもそうですけれども。で、全然喋れない人とか。「この空気、なんだろう?」っていうときがよくよくあって。そういうときに限って、やっぱり物事はうまく進まないなと思ってるんですけれども。この聴き方とか発し方の心理的安全性という意味の解説も含めて、お教えいただきたいです。

篠田:ありがとうございます。まず、心理的安全性って何か? っていうと、心理学で割とはっきりと定義があって。「チーム」という環境で自分が発言をしたときに「えー?」みたいな感じで否定されたり、あるいはそれが結果として自分に何か懲罰……要は無視されるみたいなことで跳ね返るとか。そういった心配が一切ないっていう。考えたことを自分が「言うべきだ」と思ったときに発言できるという、そういうチーム環境のことを言うんですね。

で、逆にこれは何ではないかっていうところと併せてお話すると、心理的安全性っていう言葉が割と柔らかい感じなので、「私が大事にされること」って思われる方もいらっしゃるんですけど。「いや、篠田さん、本当にシャレになんないですから!」っていうふうにその人が思ったときにそれを言うっていうこと。そしてそれを私が受け取るっていうことも同時に……これは双方向なのでね。それでも、ちゃんと受け入れられるっていうことも同時にあるんです。

で、これは個人のスキルとか資質の問題ではなくて、あくまでそのチームの雰囲気、組織風土の問題であって。だから、同じ人があるチームにいると心理的安全性を感じてそういう行動ができるけど、別のチームに行くと全然できないってことはあり得るんですね。だから「これは人ではなくてチームに宿るものだ」っていうふうにまず、ご理解いただけたらと思います。

だからこそ、この心理的安全性っていうものをチームのなかで実現するには「聴く」ということが欠かせなくて。『恐れのない組織』っていう日本語タイトルの本がありまして。これがその心理的安全性っていう概念を心理学のなかで打ち立てた先生が書かれた本なんですよね。

そこで、そういったチームをつくるにはどうしたらいいか? っていうこともかなり細かく書いてあるんですけども。やっぱり聴くっていうことがかなり柱になってるんです。で、それは私の理解と合わせてにはなりますけれども。ここまでずっと堀井さんとお話をしてきた聴くっていうことなしには、そうやって自分が発言したときに、「聴く=受け取る」なので。考えは違うかもしれない。堀井さんの意見と私の意見は当然、違うんだけど。でも、違った意見を伝え合える。それが一旦は受け取られるっていうこと。つまり「聴いてもらえるんだ」っていうことが信じられてるからじゃないですか。だからチーム全員が聴くっていうことにアンテナが立ってる状態=心理的安全性が高い状態っていう。

堀井:いや、もうすごい重要だと思いました! 本当に。やっぱりなんか若い子が発言して……5、6人で会議していて。それで「えっ、それって○○じゃん?」って言ってシュンってなっちゃうっていうのが何度かあると、やっぱり聴かれないとか、こっちも聴いてないとかっていうのが蔓延してくると、もう「誰かが言うことをひたすら聴く」とかいう雰囲気になっちゃうんですよね。

篠田:そうなりますよね。やっぱりそうやって……で、もう途中で遮られた方はやっぱりもう「ここで言ってもな……」っていうふうに自然になる。要はやっぱり無意識の心理として、私たち人間って群れの動物だから。「群れから外される」っていうのがものすごい、もう生命の危機ぐらいに感じちゃうんですよね。脳が。そうすると、「いかにここの集団に安全にいられるか?」っていうことが最優先事項になるから。そうすると、「自分が発言をしなければ、ここに安全でいられる。発言するとなんかちょっと距離が出ちゃう」って思ったら、これは絶対に言わなくなりますよね。だから「安全性」ってのはそういう意味で。「この群にいて大丈夫か?」っていう感覚。なので、すごい動物的で。

堀井:すごくわかります。だから本当に「聴く」っていうことをみんなでやらないと、やっぱりいいものは生まれないし。そういうことですよね?

篠田:そうなんです。

<書き起こし終わり>

文:みやーんZZ


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