「働くの実験室(仮)」活動記録 by SmartHR
読む、#ウェンホリ No.01-02「哲学は“人それぞれ”をゴールではなく、スタートにする」
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読む、#ウェンホリ No.01-02「哲学は“人それぞれ”をゴールではなく、スタートにする」

「働くの実験室(仮)」活動記録 by SmartHR

ラジオ書き起こし職人・みやーんZZさんによるPodcast「WEDNESDAY HOLIDAY(ウェンズデイ・ホリデイ)」書き起こしシリーズ。通称「読む、#ウェンホリ」。今回は、第1回のタレント・新内眞衣さんと哲学研究者・永井玲衣さんの対談から「哲学は“人それぞれ”をゴールではなく、スタートにする」をお届けます。

最近は「みんな違って、みんな良い」が合言葉になってきている節もありますが、哲学は“人それぞれ”をゴールにするのではなく、スタートにするところからはじまるのだとか。永井さんはそれを「真っ当に苦しむこと」と表現します。どういうことなのでしょうか?

No.01-01から続く>

哲学は“人それぞれ”をゴールではなく、スタートにする

新内:普段、お仕事とされているのが「哲学対話」ということなんですけども。哲学対話っていうのはやっぱり1人じゃなくて、誰かとっていう感じで……これは、どういうことなんですか?

永井:ねえ。これ、変な言葉ですよね。

新内:はい……あ、「はい」って(笑)。すいません!

永井:いや、私も変な言葉だと思います。でも、なんか哲学ってね、1人でなんかおじいちゃんとかが難しい顔して悩んでるみたいなイメージがね、あるじゃないですか。

新内:あります。

永井:でも、哲学ってそんな正解のないことについてもがくっていうのは、それはやっぱり1人じゃできないんですよ。

新内:なんか、心がつらいですよね? きっと。

永井:それこそつらいっていうか。「なんで生まれてきたんだ?」って1人で考えるのってつらくって。で、なんか、ねえ。難しくって深遠な問いのことを「哲学的」とか言ったりするじゃないですか。ちょっと話が難しくなったら「哲学的だね」みたいな。飲み会の最後らへんとかでなる感じ? 「哲学だね」みたいな。それってなにか、問いが難しいっていうよりも、1人で考えてるから難しいんですよね。

新内:なるほど。

永井:だから人々と集まって一緒にもがくというか。そういうのをやるのが哲学対話っていう活動で。で、さっきご紹介いただいたように学校とか美術館とか、本当にいろんなところで哲学する場を開く活動をしてます。

新内:えっ、それでどのぐらいの人たちとやるんですか?

永井:そうですね。3、4人のときもあれば、50人ぐらいで。集まっちゃったらもう、それでやるしかないので(笑)。

新内:50人で1回の時間がどれぐらいとか……決めずにやるんですか?

永井:ええとですね、哲学対話は実はまとめないんですよ。対話して「正解はこれだね!」とかはやらなくって、時間だけが決まってるんですよね。なので、みんなで問いをひとつ、決めて。で、それについて皆でモヤモヤと考えたりして考えを交換しあうんですけど。私、ファシリテーターって言って、その場の進行役をすることが多いんですが。時間になると急に「はい、では終わります」って言って。

新内:そんなブツッと?

永井:はい。いきなり終わります。

新内:そうなんですね! ちなみにルールとか決まりとかは、あるんですが? その対話に向けてというか。

永井:それはですね、基本的になにを言ってもいい場なんですけれども。ただ、私はルールっていうよりも「約束」っていう言い方をすることが多くって。やっぱり対話なので、その「いい場であること。考えやすい場であること」を担保するためのお約束っていうのをお願いするんですよね。で、いろんなパターンがあるんですけど。よく言うのは「ちゃんと聞く」っていうのを私はお約束として出すことが多くて。

対話っていうと「話す」っていう字が入ってるから「たくさん話さなきゃ」とか「いいことを言わなきゃ」とか……ねえ。テレビとか、いいことを言わなきゃいけないから大変だろうなって思いますけども。そういうことは別にあんまり興味がない場で。「お互いの話をよく聞くとか、自分の声をよく聞くとか、そういったものを大切にしてください」って言ったりすることがあって。

新内:はい。

永井:で、もうひとつはさっき「難しい」とおっしゃってましたけど。「偉い人の言葉を使わない」っていうお約束なんです。

新内:そうなんですか?

永井:はい。

新内:わかりやすく聞いてもらうっていう姿勢ということですか?

永井:そうです、そうです。だって私が今、急にここで「いや、純粋悟性概念が……」とか言っても……。

新内:「ああー、ちょっとごめんなさい! 一旦、調べさしてもらっていいですか?」ってなっちゃいますね(笑)。

永井:「一度、持ち帰らせていただきます。折り返しご連絡します」ってなっちゃいますよね? そういうのはお休みする場というか。「自分の言葉でお話してください」っていうことをお願いするんですよね。で、最後が……三つ、よくお約束をお願いをするんですけど。最後が「人それぞれにしない」っていうお約束なんです。これ、ちょっと変わってますよね?

新内:なんか、まとめないけど、人それぞれにしないってことですか?

永井:そうなんですよ。

新内:難しい!

永井:フフフ(笑)。難しいんですよね。ただ、ねえ。たとえば「なぜ生きるのか?」という問いでみなさんと話したときに「いや、人それぞれですよね」って言ったら終わっちゃうんですよね。

新内:たしかに。なるほど。

永井:「“人それぞれ”は当たり前だから、それをゴールじゃなくスタートにしましょう」っていうのが哲学対話のスタンスです。

新内:うわー! すごいやっぱり素敵ですね(笑)。えっ、ちなみにエキサイトして揉めることとかはないんですか?

永井:(小声で)ありますよ……。あります。

新内:そうですよね(笑)。

永井:あります。でも、そこが私は大事だと思ってるんですよ。人が集まって考えるということって本っ当に難しいことなんですね。対話って私は軽々しく言いますけれども、これって人間が一番苦手なことのうちのひとつだと私は思っていて。だからこそ、その場に気を払いながら考えるとか、さっきのお約束じゃないですけども。そういうことを気にかけながら……「この場が考えやすい場なのか?」っていうことをみんなが気にかけながら考える、対話の場を開くっていうことを試みてるっていう気はしますね。

哲学の場は、真っ当に苦しむことを許せる場

新内:なんか私は結構、日常生活のなかでやっぱり大人になっていくにつれて喜怒哀楽が減ってるなってすごい思うんですよ。お話のなかで。だから急にエキサイトすることもないし、急に悲しくなることもないし、急にハッピーになることもないなって思うので。なんか自分の感情というか、自分のなかのものをたしかめるためにも対話ってやっぱり大事だったりするんだろうなって今、お話を聞いてて思いました。

永井:ああ、そうですね。哲学対話のなかで大人の方がよく「あっ、自分、こんなこと考えてたんだ」って言うんですよね。

新内:心の声が聞こえてきたりするってことですね。頭じゃなくて。

永井:そうでしょうね。ご自身の考えをワーッて話した後にびっくりしたような顔をして「あっ、私、こんなこと考えてたんだ」って言うんですよね。それってなにか、喜ばしいことだなと私は思ってて。そこで初めて自分の心の声を聞くというか、なんか「問われて初めてこんなことを考えた」とか、「こんなこと久々に思い出した」とか、そういうのが起きる場だなと思ってますね。

新内:哲学対話をすることによって私たちの生活にどんなことがもたらされるんですか?

永井:どうでしょうかね? なにか意味を求めてするっていう感じなのかもよくわからないですけど。ただ私、哲学対話の場というか哲学の場って、なんだろうな? 真っ当に苦しむっていうことを自分に許せる場だなと思ってて。

新内:「真っ当に苦しむことを自分に許せる場」?

永井:「なんで自分はこんなことをしてるんだろう?」とか、「なぜ働いてるんだろう?」とかっていう問いって、さっきも言ったようにやっぱり1人で考えるのってすごく苦しいんですよね。だし、急いで答えを出したくなるし、検索したくなるし。なんか、「わかる30の名言」とか……。

新内:ああーっ! 見ちゃうかも(笑)。

永井:見ちゃいますよね? とか、なんか「5ステップ」みたいなのに飛びつきたくなるんですけど。でも、なんか本当は私たちで単に人とそういうことについてちゃんと考えたいんじゃないか? って思っていて。ああだこうだとね、みんなと言ったりして。ちゃんとそれ、悩んでいいよ。考えていいんだよっていうふうに……それを私は「ちゃんと苦しむ」っていうふうに言っているのかなと思うんですけど。そういうことって別にしてもいいよね。急いで答えを出さなくても、それでもよくて……っていうことを哲学はさせてくれるのかな、なんて思いますけどね。

新内:なんか結構私も悩んだときとかに、答えをインターネットに求めることがすごい増えたなって思っていて。それこそ自分のなかで対話をしてないなって今、すごい気づかされて……ちょっと焦ってます(笑)。

永井:いや、焦らなくていいですって(笑)。

新内:でも、たしかに答えが自分のなかにあるというか、答えなんてないのにそれの正解をインターネットとかに見つけ出そうってしちゃう癖のある方って今、これを聞いてる方のなかでもすごい多いと思うんですよ。だからこそ哲学対話、ちょっとやってみたくなりました。

永井:おっ! 本当ですか? いいですねー。

新内:えっ、できるかな?

永井:やりましょうよ。

新内:いや、でもすごい自分の嫌なところも出てきそうで、ちょっと怖いんですけど。

永井:フフフ(笑)。ああ、そうですね。

新内:えぐみのある部分というか。

永井:えぐみね。眞衣さんのえぐみ(笑)。

新内:一応ね、いろんな方に耳に触れるものだとは思うので。ちょっと考えながらだとは思うんですけども。ちょっとさわりでも、やってみてもらってもいいですか? 一緒に。

永井:じゃあ、一緒にやりましょうか(笑)。その哲学対話はみなさんに問いをお聞きするところからはじめるんですけど。眞衣さんはどういうことを最近、気になったり、考えたりしてます?

新内:なんか先ほど、打ち合わせのときに「問い」って言ったときに私もたぶん、1分ぐらい沈黙があったんですよ(笑)。考えてるときに。で、永井さんがやっぱりいろんな対話をしてくれて、「じゃあこういうことが気になっているのね。こういうことが気になってるんだね」っていう提案をしてくれたから自分のなかで「評価ってなんだろう? っていうか、評価ってなんなんだろう?」っていうのが自分のなかに出てきて。それが今、すごい新鮮だったので、それについてお話したいなって思います。

<No.01-03へ続く>

文:みやーんZZ


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