見出し画像

読む、 #ウェンホリ No.16「みんなが助け合う社会の実現を目指して」

ラジオ書き起こし職人・みやーんZZさんによるPodcast「WEDNESDAY HOLIDAY(ウェンズデイ・ホリデイ)」書き起こしシリーズ。通称「読む、#ウェンホリ」。

第16回では、アナウンサーの堀井美香さんと東京都杉並区長の岸本聡子さんが、「私たちが“仕事”と呼んでいるもの、自己実現あるいは社会貢献」をテーマに語り合いました。

行政に携わっている岸本さん。現在はみんなが助け合えるように、女性やマイノリティが働きやすい環境づくりを目指して取り組みをはじめているそうです。

みんなで助け合う社会づくりが政治の役目

岸本:本当に困ったらやっぱりちゃんと行政が助けてくれるっていう、そういう社会のために。やっぱりそれのために税金を払ってるわけだし。そのために社会保障があるわけだし。それを、どうしても自己責任的な考えで……「自己責任」って本当に怖いなと思うんですけど。「自分も一生懸命やるけども、人のことは関係ない」っていう、そういう考えだと本当に自分が困ったときに……ってなってしまうので。だからやっぱりみんなで助け合う社会づくりっていうの政治の役目かなと思うところもあります。

堀井:どうでしょうか? 杉並区でそれを実現していくために、どういう一歩を踏み出そうと考えてらっしゃいますか?

岸本:たくさんね、気持ちはあるんですけども。まずはできることからっていうことで、ふたつ、あるかな? 「働く」って本当に広いので。民間もいろんな仕事があるけど。少なくとも自分ができることは、区役所のなかで働いている人たちが働きやすい、能力が生かせる。特に女性が働きやすい、もしくはマイノリティが働きやすい職場。それは男性にとっても働きやすい職場だと思うんですね。ですので、そういうアングルで、まずは「ハラスメント0」っていう。当たり前なんですけれども、でも当たり前がなかなか当たり前じゃないのがいろんな組織だと思ってるので。それはもう、ここはもう本当にリーダーシップでできることなので。これはしっかりやっていきたいと思います。

あともうひとつ、私が本当にこれは選挙の時から大きな課題だと思っていたのは、「働く人の分断」なんですね。特に区役所って明確なんですけども。正規職員と非正規職員っていうのがもう本当に待遇とかが全然違って。全国的にも杉並区でも、正規職員が6割。非正規職員が4割っていうぐらいの、もうほぼほぼそんなに変わらないぐらいの比率の状態になってるんです。で、この働く人の分断っていうのは非常に怖いなと思ってまして。「同一労働・同一賃金」っていうね、本当に国際的なルールもありますので。それに近づけていくのは大変なことなんですけども。

でも非正規……これは行政のなかでは「会計年度任用職員」っていう言い方をするんですけれども。この人たちの処遇の改善っていうのは、これはまさに行政でやっていかなきゃいけないことだと思っているので。そこはしっかり。特にその非正規職員のなんと87%が女性なんですね。

堀井:ええーっ?

岸本:すごい比率なんですよ。なので、この働く人の分断のなかにはジェンダーっていう問題も大きくあるので。これはもう、しっかりやっていきたいなと思ってることのひとつです。

堀井:いや、数字で見るとびっくりしますね。非正規の方の87%が女性だっていう。この同一労働・同一賃金みたいなことは、どこの会社でもやろうとしていて。でも、なかなか進んでいかないっていうところがあるかと思うんですけども。

岸本:やっぱりそうなんですか?

堀井:そうでしょうね。なんとなく、みんな意識はしていて。そこに向かおうとは思っているんですけれども。なんでしょうね? なかなか進まないんですかね。

岸本:本当にこの働くルールっていうことと、働き方っていうね。選べる働き方っていう。その両輪で考えていくというのがいいのかな、なんて思っていますけどね。働き方っていうのは本当にいろんなチャレンジがあるし。多様性があるし。そういうのを認めていく社会っていうふうにしていかないと。これから本当に少子化とか、高齢化とか、いろんななかで若い人たちがすごい働かなきゃいけないみたいなのもおかしいと思うし。

女性にも役職を! 岸本さんが今の社会に感じる違和感

堀井:そうですね。その議会のなかであったり、区役所の中であったり、女性の立場を上げていくっていうこともお考えになってるかと思うんですけれども。

岸本:これはもう本当に私にとって最重要課題のひとつで。女性は地域社会のなかでも、区役所のなかでも、本当に数という意味では多いんですね。なのに、代表者とか、意思決定の場に行くと、その数が急に減っちゃうんです。その違和感が私はものすごく強くて。自分が前に働いていた職場っていうのは女性が多かったんですけども。6割が女性で。それもちょっと、その私の職場も変わってたといえば変わっていたんですけど。なんとそのとき、トップが女性だっただけじゃなくて、私自身もその次のコーディネーターみたいなのをやっていたんですけども。なんか、全員が女性だったんですね。それもどうかっていうところはありますが(笑)。

私はひとつの性が40%を超えないっていうのがね、バランスとしてはいいかなと思っているんですけど。なので今、この区役所っていうところに入ったら、区役所のなかだけじゃなくて、会いに来る人とか、いろいろな私が出て行く場所とかで、そこはなんか男性がバーッて並んでいて。私1人がポツン、みたいな局面があまりにも多くて。どうして代表者や意思決定ってなると、いきなり男性だけになっちゃうのか? っていうことにものすごい違和感があります。これもやっぱり時間はかかるんですけれども。でも、やっぱり誰かが言わなきゃって思うし。

「今までこうだから」とか「いや、女性がやってくれないんだよね」とか、なんかそういう言い訳ばっかり聞こえてきて。「いや、それはやってくれないとかじゃなくて、やらせてないんですよね?」って思うんですよ。女性って、特に同じ仕事を経験しているのに、たとえば人前で話すとか、責任があることをやるという経験がないだけで。それだけで、自信がないとか……当たり前ですよね? だってみんな、経験をして自信をつけていくわけですから。これまでにそういうチャンスを与えられてないわけですよ。

で、私は間違いなく、女性はチャンスを与えたら予想以上の仕事をするっていうふうに、これは経験的にも思っていまして。そういうことで、チャンスというものをあえて積極的に女性に、もしくはマイノリティに与えていくということは絶対にやっていかなきゃいけないことだと思います。

堀井:うんうん。素敵なお話、ありがとうございました。行政のトップのお話を聞くと、その街がより魅力的になるかなとも思います。2週に渡ってお越しいただきました。ゲストは杉並区長、岸本聡子さんでした。岸本さん、ありがとうございました。

岸本:ありがとうございました。

<書き起こし終わり>

文:みやーんZZ


Podcast「WEDNESDAY HOLIDAY」#16の視聴はこちらから

▼Spotify

▼Apple Podcast

▼Google Podcast