「若手リーダー3人によるZ世代論」高木俊輔×能條桃子×龍崎翔子鼎談#WORKandFES2021
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「若手リーダー3人によるZ世代論」高木俊輔×能條桃子×龍崎翔子鼎談#WORKandFES2021

「働くの実験室(仮)」活動記録 by SmartHR

これが 私たちの世代?
「世代」とは一体なんなのでしょうか。「バブル世代」と聞くだけでリッチな匂いが漂ってくるし、「松坂世代」の人々はなんだか誇らしげ。そういえば「ゆとり世代」は長く揶揄の対象とされていましたが、いつの間にか「ミレニアル世代」なんてカッコいい言葉に置き換わっていました。こうした「○○世代」という言葉についてひとついえることがあるとしたら、これらはラベルだけ付いて中身が何も入っていない箱のようなものだということ。自分にとってよくわからない存在を定義するために“とりあえず”用意されたものに過ぎません。しかし、未知を既知に変えるためには向き合う必要があります。一人ひとり趣が異なる人間として。それからあらためて「世代」について考えてみると見えてくるものがあるのではないでしょうか。

※この鼎談記事は、2021年12月11日に開催されたオンラインイベントWORK and FES 2021のノベルティ「WORKandFES2021副読本」に掲載しているものです。そのほかにも多彩な面々のインタビュー記事が掲載された副読本のプレゼントキャンペーンを3/4(金)〜3/31(木)まで実施しています。ご希望の方はこちらのフォームよりご応募ください。

若手リーダー3人によるZ世代論

1990年後半から2000年代に生まれた「Z世代」と呼ばれる若者たち。世の中の価値観が多様化して大きな枠で括ることが難しくなっているといわれていますが、当の本人たちは周囲を取り巻く事象に対してどんなことを考えているのでしょうか。利用者に適した行政サービスをチャットで伝えるCivichatの高木俊輔さん、SNSを中心に若者に向けて政治の情報を発信しているNO YOUTH NO JAPANの能條桃子さん、ホテルのプロデュースや運営を行うL&G GLOBAL BUSINESSの龍崎翔子さんという3人のリーダーにさまざまな切り口から焦点を当て、リアルな価値観を探ります。

高木俊輔さんの似顔絵画像

高木俊輔(たかぎ・しゅんすけ)
株式会社Civichat代表取締役。幼い頃からテクノロジー分野に興味を持つ。中学生時代には文化祭の予算をクラウドファンディングで確保したほか、N高等学校への転校費用もクラウドファンディングで募集した。2020年に株式会社Civichatを創業し、公共制度をチャットボットで検索できるサービスを運営している

能條桃子さんの似顔絵画像

能條桃子(のうじょう・ももこ)
一般社団法人NO YOUTH NO JAPAN代表理事。デンマークに留学中の2019年7月に、U30世代のための政治と社会の教科書メディア「NO YOUTH NO JAPAN」をInstagramで開設して注目を集める。帰国後の2020年にはNO YOUTH NO JAPANを一般社団法人化。現在は大学院に通う傍ら、約60名のメンバーと活動を続けている

龍崎翔子さんの似顔絵画像

龍崎翔子(りゅうざき・しょうこ)
株式会社L&G GLOBAL BUSINESS代表取締役・ホテルプロデューサー。大阪、京都、層雲峡など国内で5軒のブティックホテルを開発・経営。そうした経験を活かし、現在はホテルの宿泊予約プラットフォーム「CHILLNN」や、空間や観光の価値を高めるクリエイティブブティック「水星」などの代表も務めている

そもそも1日で世界は変わらない

──みなさんは「Z世代」と呼ばれることが多いですよね。そうやって括られることに対してどんなことを感じますか?

能條 私が代表を務めるNO YOUTH NO JAPANは、「U30世代のための社会と政治の教科書メディア」を掲げているんですね。そうやってタグラインを決めているのは影響を受ける政策が世代によって違うからなんですが、それは自分たちの問題意識として取り組んでいることだからで。メディアや企業が外側から若者を理解するために「Z世代」のようなラベリングをすることに対しては、ひと口に若者といってもけっこう差があるんだけどなと感じることがあります

龍崎 同じ世代でも、何を情報源としているか、普段どういう人たちと接しているかによって価値観がだいぶ違いますよね。私も含めて、Z世代に括られることに対してピンとこない人もいるだろうし、なかには「自分はミレニアル世代的な考え方だ」という人もいるはず。だから、時間軸や世代軸じゃない区切り方をしたほうが適切なシチュエーションは多そうだなと思います。

高木 結局のところ記号化しないと区別できないっていうことですよね。でも、今ってインターネットを通じて情報を手に入れることが当たり前になっているから、世代よりも社会的な階層によって違いが見えることのほうが多い気がします。

──それでいうと、みなさんは物心がついた頃からスマートフォンがある世代ですよね。高木さんに至っては6歳の頃にiPhoneを持っていたとか。おそらくみなさんより上の世代とは認識が大きく違うと思うのですが、インターネットはどういう存在なのでしょうか?

高木 僕はWeb2.0と呼ばれるTwitterやYouTubeのようなサービスが誕生した時代からインターネットに触れることになったので、企業が提供する場で遊びも仕事もしている感覚があります。それ以前のWeb1.0の頃は牧歌的だったから、もう少し遊び場の要素が強かったと思うんですけど。

能條 友達とコミュニケーションする手段のひとつという感じですね。オフラインとオンラインの区別をしていないので、インターネットだから特別に何かできるという感覚はあまりないかもしれません。

龍崎 私は中学校くらいまでガラケーを使っていたので、2人とは認識が違う部分が多いかもしれないのですが、オフラインで行われていたありとあらゆるコミュニケーションがインターネットで代替可能になったことで、いろんな物事がかつてほどコストやリソースをかけずに実現できるようになったなと思います。その便利さを享受できるようになったのはいいことですよね。

高木 ただ、今はGoogleやAmazonのようなビッグテックの市場原理に左右されすぎている気がしていて。たとえば2016年のアメリカ大統領選では、ロシアのある団体がFacebookにフェイクニュースを織り交ぜた広告を流したことが選挙結果に影響を与えたのではないかといわれています。ビッグテックが生み出した基盤のうえで何かをしようとしても、誰かにコントロールされた状況になってしまう可能性があるので、もっと自分たちで権限を管理できる状況になるといいですよね。

──そういう問題意識を持っている人は周りに多いですか?

能條 どうなんだろう。問題だと考えている人もいれば、まったく気にしていない人もいるだろうし。

高木 これは国民性や時期も影響すると思っていて。最近、Netflixで『三島由紀夫vs東大全共闘50年目の真実』という作品を観たのですが、あの当時って自治を取り戻さなければいけない時代だったから学生運動が起こったと思うんです。同じようなことが起きているのが今のインターネットなんじゃないかなって。だから、これから到来するWeb3.0に向けて少しずつインターネットの自治を取り戻していければいいなと思っています。

どんなときも自分がご機嫌でいられるように努める

──みなさんの時間に対する意識についても伺いたいです。最近は映画やドラマを倍速で見る若者が増えていると聞きます。そういった流れからも「効率よく成果を上げよう」というタイムパフォーマンスへの意識が高まっていると感じるのですが、みなさんも同じような傾向はありますか?

龍崎 私は親から「時間の無駄遣いは人生の無駄遣い」と言われながら育てられたこともあって、受動的に過ごしてしまう時間をつくるのがもったいないと考えているんです。だから、そのときどきの時間で得られるものを最大化できるように過ごすことを意識しています。たとえば、19歳で起業したのも、だらだらと時間を費やすのが嫌だったからなんです。

能條 せっかく同じ時間を使って生きるなら、自分がやる意味のあることかどうかが大事ですよね。ほかにやってくれそうな人がいたら任せてもいいというか。あと、きちんとブレーキをかけることも大切だなと最近になって思うようになりました。そうしないと、ついついNO YOUTH NO JAPANの活動にばかり時間を費やして、健康が疎かになってしまう危険性があるなって。私は2100年、102歳まで生きることが最後の目標なんですよね。だから、今この瞬間に自分のすべてを投下して寿命を削るような行動は避けなきゃいけないなって(笑)。1年でやること、3年でやること、10年でやることみたいな感じで物事に区切りをつけながら、きちんと公私のバランスを取って活動したいなと思っています

高木 みんな生き急いでいる感じがありますよね。僕の周りでも、早く何かを成し遂げたいと考えている人ほど学校なんて無駄みたいな感じになっている気がします。それで実際に中退している人もいますし。でも、僕は逆に「人生ってめっちゃ長いな」と感じていて。それこそ学問なんて長い歴史を通して価値を積み重ねているものなので、それと同じように自分の文脈もゆっくり形成したほうが結果的にパフォーマンスは高いんじゃないかなと思うんです。そもそも1日で世界は変わらないですし。ちなみに、これは2人に聞きたかったことなんですが、メンタルヘルスとどう向き合っていますか?

──起業家は鬱になる傾向が強いともいわれていますよね。

龍崎 メンタルは大なり小なりみんなダメージを受けていますよね、きっと(笑)。私自身、目に入ってくる情報量の多さに吐きそうになることがあるし、それをシャットダウンする術もあまりないから、心の癒しを求めている人が増えているのもわかります。でも、人間ってバイオリズムに左右される生き物だから、気分に浮き沈みがあるのは当然で。自分の意思で何かを変えられると考えるより、大きな波のなかを漂っている感覚でいると救われることがあるんじゃないかと思います。

能條 私は「ハッピー野郎」と周りから言われるくらい能天気で、基本的には寝たら忘れてしまうタイプなんですよね(笑)。ただ、NO YOUTH NO JAPANの活動をはじめてからはメンタルとの向き合い方について考えるようになりました。これはさっきの102歳まで生きたいという話にも通じるのですが、肉体だけじゃなく、精神的にも健康であることが大事だと思うんです。そのためには、自分ですべてを変えられると思い込まないほうがいいのかなって。若いというだけで周囲から期待をかけられることがあるし、それに応えたい気持ちも湧いてくるじゃないですか。でも、背負いすぎて重荷になってしまうと疲弊する要因になるから。

龍崎 それはすごくわかります。仕事柄、地方の僻地へ行くことが多いのですが、街が廃墟化して山に還ろうとしている現場を見る度に日本全体が廃墟になるビジョンが脳裏に浮かぶんですよ。賽の河原で石を積んで餓鬼に蹴られるような感覚に陥るというか。そういう意味では経営者って悲劇のヒロイン化しようとすればいくらでもできるんですけど、究極的なことを言えば世界なんて遅かれ早かれいつか滅びるじゃないですか(笑)。だから、どんなときも自分がご機嫌でいられるように努める、たとえば仕事を放り出してで も友達と遊ぶとかして気持ちが落ち込まないように保つ努力をするのも仕事のうちなのかなと思います。

高木 「法人=自分自身」になってしまうとよくないですよね。原体験みたいなものがあると、なおさら陥りやすいと思うんですけど。僕自身、時間の流れを一瞬止めるというか、何も持たずに美術館に入るみたいな日常に点を打つことを心がけているのですが、それは仕事とプライベートを分ける意味もあって。

龍崎 強制的に何も考えない時間をつくるのは本当に大切ですよね。私は『オードリーのオールナイトニッポン』をよく聴いているのですが、若林さんと春日さんのどうでもいい掛け合いに救われています(笑)。

生活のあらゆる場面に資本主義的な価値観が組み込まれていくのは嫌

──最後のトピックです。最近はこれまでの資本主義の在り方を見直そうという動きがありますが、みなさんは何か考えることはありますか?

高木 それはすごく考えます。たとえば、自立分散型組織とか。でも、自分の責任ですべての仕事に取り組むよりも、ある一定の制約のなかで指示されるほうが楽だと思うんですよね。だから、オープンソースソフトウェアの開発にコミットする手立てを自分で考えて、実行したら報酬が支払われるといったビジネスモデルは、一般には受け入れられにくいんじゃないかなという気がします。

能條 私は波に飲み込まれたくない欲求が強くて。そういう意味では、生活のあらゆる場面に資本主義的な価値観が組み込まれていくのは嫌なんですね。たとえば子どもの放課後の過ごし方も、昔はもう少し自由だった気がするんですけど、今ってほとんどのことが商業の対象になっているじゃないですか。ピアノ教室では当たり前のようにレベル分けされて上を目指さなければならないし、塾でも大人が決めた基準やカリキュラムに対応していくことが是になっている。そういったことをゼロにしろというわけではないけど、社会全体が少し資本主義的すぎるなと思っています。

龍崎 私は逆に資本主義はすばらしいと思っていて。つい最近、物々交換で事業に取り組む会社を知人が立ち上げたんですけど、やっぱりお金って便利だよねという話をしていて。価値尺度が同じで、耐久性があり、ポータブルである。その扱いやすさは代えがたいですよね。

──確かにそうかもしれません。

龍崎 あと、これは将来の話なんですが、産後ケアや託児ができるホテルを運営したいなと構想していて。たとえば、家事は無賃金労働という括りに入れられていて、多くの人は無報酬で取り組んでいますよね。出産時の里帰りにしても親の労働力に頼っているわけですし。でも、商品化して値段を付けることでアウトソーシングが可能になるわけじゃないですか。そういう仕組みがあることで生きやすくなる人もたくさんいると思うんです。膨張するばかりで縮小していく設計がされていないのは今の資本主義の課題ではあるけど、成長し続けなくても持続できる在り方は求められていくんじゃないかなと思います。

高木 ある一定のところまでは商品化によって幸せになれると思うんですけど、一方で行政府による再分配がうまくできないとゴッサム・シティ化する危険性がある気がしました。

能條 再分配の問題は労働市場だけでは実現できないから、公共とセットで考えないといけないですよね。

龍崎 これから日本は人口がどんどん減少していくので、そのなかでも市場を回していく仕組みをつくる必要があるんだと思います。でも、フィンランドは人口が500万人しかいないけど、世界トップクラスの公共サービスを誇っているわけですし、日本でも実現可能なんじゃないかなと考えています。

文:飯嶋藍子 イラスト:星野ちいこ

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SmartHRがはじめる「働くの実験室(仮)」は、さまざまな取り組みを通じて人と企業のこれからを模索するプロジェクトです。社会の変化をしなやかに受け止めながら小さな試みを繰り返す、実験室のような存在を目指します。こちらでは実験の過程を随時公開しています。