見出し画像

読む、 #ウェンホリ No.13「マイブーム、なんですか?」

ラジオ書き起こし職人・みやーんZZさんによるPodcast「WEDNESDAY HOLIDAY(ウェンズデイ・ホリデイ)」書き起こしシリーズ。通称「読む、#ウェンホリ」。

第13回では、アナウンサーの堀井美香さんとみうらじゅんさんが、「みうらじゅん流 学びの視点」をテーマに語り合いました。

「マイブーム」という流行語の生みの親であるみうらさん。ところが、それが足枷になる時期があったとか。一般的には価値がないものとされているものに独自の視点で「価値」を見出し、世の中に広げてきたわけですが、「マイブーム」がもたらした大罪について話します。

マイブームの在庫、ないんです

堀井:今、ブームという話もありましたけれども。これも最後にちょっと質問で伺いたいんですが。ずっと「マイブーム、なんですか? マイブーム、なんですか?」とその都度、聞かれてきたかと思いますが。

みうら:今、聞こうとしてるでしょう?

堀井:ええ、もちろん(笑)。

みうら:用意、ないですよ。もう、在庫、ないんで。在庫切れで(笑)

堀井:もう在庫切れ(笑)。お苦しい立場だったと思います。「マイブーム、なんですか?」って言われるたびに、何かまた新しいものを提出していかないといけないわけですからね。

みうら:そうですね。やっぱりその言葉で流行語大賞をもらったのが運のつきでした。やっぱり……前は月刊誌的に月に1回、「今、どんなマイブームですか?」って聞かれていたけど。それが週刊誌レベルになったんですよ。あるわけないじゃないですか、そんなの。

堀井:みんな、新しいのがほしいですからね。聞く方は(笑)。

みうら:そうでしょう? そのときに「そうですね。映画鑑賞ですかね」「いやいや、もう! 勘弁してくださいよ」って言われるんですよ。ひょっとして映画鑑賞かもしれないじゃないですか。本当に。

堀井:わかります。そのときに。そうですね。

みうら:それでは許してもらえなくなったんですよ。映画鑑賞ぐらいでは。だからこれは本当に大罪で。いろんな……あの頃はアイドルの方も「今のマイブームは何ですか?」って聞かれているんですよ。雑誌とかを読むと。かわいそうだったな。

堀井:これ、私も採用の面接官を10年ぐらい、やってたんですけど。必ず「マイブーム、なんですか?」っていうのを聞く項目もありましたし。1回それをやめたんですけど。そうすると、学生が自ら「僕のマイブームは○○です」みたいな。ちょっと素っ頓狂なことを言うっていう流れが必ず出てきていて。そんな現象が……。

みうら:いやいや、今、堀井さんの言葉で今日の番組、すべてわかりました。俺が素っ頓狂だっていうことですよね?

堀井:違うんですよ(笑)。なんか、「人と違うことを頑張って言わなきゃいけない」っていう。

みうら:それ、寒いでしょう? 寒いじゃないですか。本当は寒い行為なんだけど。あえて「寒い」っていうのをやってるっていうことでしたね。今日の結論は。そういうことだと思うんですよ。僕ね、やっぱり自分の恥さらしみたいなことをね、やってきたと思うんですよ。それをネタとして。世の中のことはあんまり知らないし、その流行……今、流行ってるものに僕が飛びついたとしてもそれは当然、オーソリティがいるから。そんなもん、仕事になんないわけで。

となると、自分にふさわしいネタを見つけるしかないんですよね。だからもう、そのときに考えついたのが「自虐」っていうことだったから。そこがベースに自分はあると思うんですよね。だから今でも……昨日も夜遅くまで原稿を書いてたんで、今日あんまり寝てなくて来てるんですけど。「つらいな」って。自分が「早いのがいい」って言っておきながら、原稿がそんなになかなか書けないっていうのに気がついてなかったんで。で、「ああ、つらいな。眠いな」と思ってたけど。

書いてた原稿が「人生エロエロ」っていう原稿なんですよね。文春の。ダメじゃないですか。そんなんで同情を得れないじゃないですか。でも、まあ、その同情をどれだけ得ないか? っていうことをやってきたのかなと。それで、勘弁していただけますでしょうか? あの、マイブームを聞かないで、許してもらえますか?

マイブームはもう死んでいる

堀井:そうですね(笑)。本当、マイブームって皆さんが口にするときがありましたから、大変だったろうなと思いますね。

みうら:その言葉は本当にもう、死んでますよね。はっきり言って。長いですよ。

堀井:いまだにでも、マイブームは必ず……。

みうら:長いし、あれ、広辞苑に載ってるんですよ。もう広辞苑に載った段階で、そんなの死語じゃないですか。

堀井:そんなことないですよ。「みうらじゅん造語」っていうふうに書いてありますよ。

みうら:書いてありますよ。でもね、1個ね、広辞苑にも間違いがあって。「漫画家のみうらじゅんがつくった言葉」みたいに書いてあるんだけど。僕ね、最近は1本も漫画、書いてませんから。なんで俺のことを漫画家って認めてくれるんですか?

堀井:いやいや(笑)。みなさん、認めてますからね。ありがとうございます。

みうら:ああ、そうですか?

堀井:ちょっとね、いろんなことを伺いたかったんですけれども。その著書『「ない仕事」の作り方』のお話ですとか……。

みうら:本当はレカ……レカレント教育のことについて、僕はしゃべるべきでしたよね? レカレント教育。

堀井:リカレント教育ですね。

みうら:ああ、リカレント教育か。

マイキャッチーがない仕事をつくる

堀井:『「ない仕事」の作り方』のというのも、多分たくさんの方が興味を持ってらしたと思いますし。それから第三者に自分を「1人電通」とおっしゃってますけれども。考えた企画をアピールしていくときに意識していくことっていうのも聞きたかったんですけども。

みうら:いや、これは言ったつもりなんですよ。小学校4年でキャッチーだったとか。ああいうことですよ。ああいうことがすごく自分の中にあると思うんですよね、「おいしい」っていうふうにプラスもマイナスも思っちゃうところがあって。

堀井:なにがキャッチーかとか、なにがおいしいのかとか。

みうら:そう。人が決めたキャッチーを信じないことですよ。

堀井:ああ、いい言葉!

みうら:マイキャッチー。マイキャッチーがね、きっとない仕事をつくるんですよ。僕、そう思いますよ。

堀井:もう、素晴らしいですね。本当にこうやってお話させていただくなかにも1分に1回、必ず名言が出てきますね。本当に素晴らしいなと思っておりますけれども。仕事を好きになる視点を持つことで、もう日々の仕事との向き合い方が変わってくるなというふうに感じられるお話でした。全体をこう、概念で話してきましたけど。ところどころにですね、ヒントとなるお話たくさんあったかと思います。

<書き起こし終わり>

文:みやーんZZ


Podcast「WEDNESDAY HOLIDAY」#13の視聴はこちらから

▼Spotify

▼Apple Podcast

▼Google Podcast